「0→1」「1→10」で求められるスキルの違い
よく耳にする「0→1」「1→10」。概念では分かるけど、具体的になにが違うのでしょうか。それらを大企業視点ではなく、これから事業をつくる小規模起業視点でシンプルに整理してみました。
まず「0→1」フェーズは、まさにアイディアを形にする作業。自分がやろうとしている事業は、誰の何のためにあるのか。こうした問題意識とアイディアがきちんと強固に接続されているストーリーを描ききる段階だと思います。これをつくらないと、どうなるか。どんな事業も、思いや問題意識がなくても始められるし、少額一定レベルまでは行動力で拡大することもできるでしょう。でもそこでどん詰まりがやってくるはず。それは、なぜか。大きくするための「原動力・理解者」が不足するからです。そう、最初になによりも大事なことは、「なぜ・なにをやるのか」という、いわばビジョンやパーパスに当たる部分を描ききることにあると思います。
次のフェーズに入ると、やはりここは業績を拡大するために「必死に行動する」ことしかないといえます。この「業績」とは、売上だけでなく、MAUなどの会員獲得を指す場合もありますので、会社や出資状況で変わるかもしれませんが、いずれにしても「頭で考えるよりも、行動する」ことがとても大切。意外に、この部分を愚直かつ多面的にできる人はそう多くなく、いまやっている仕事の延長を一生懸命にやることに必死なだけで、会社として掲げる「業績」を必死に行動できる人は少ない印象があります。それくらい小規模法人の立ち上がり期は、人が少なく多忙だと思いますが、でも、やっている人はやっている。どんな形であれ、事業を持続成長させなければジ・エンドなので、大きな山場になると感じています。個人事業主から法人成りしようという覚悟がもてない人の多くも、このあたりに対する不安が強いのかもしれません。
「10以上」のフェーズに入って、ようやく「ヒトモノカネ」を回す機会に恵まれてくるので、本質的な「経営者の力量」によって社運が大きく左右されるようになると思います。また拡大のあり方や利の分配についても、経営者が決める要素が大きいため、非常に差が出やすいと思います。私自身は仕事上、多くの経営者に会ってきましたが、「伸びている会社ほど、経営者が素晴らしい」というのは紛れもない事実。この「素晴らしき」を高めるためには、知識やスキルはもとより、人間性や謙虚さ、社会性などを失わない姿勢が不可欠だと感じています。もちろん「お金を儲ける」が第一義である場合はその限りではないと思いますが、そのような方は遅かれ早かれ、その環境から早々に離脱するか永久に執着するため、案外外から見抜くのは簡単だったりもします。(決して否定しているわけではなく、当ページで伝えたい趣旨の経営像と異なるというだけの話です)
まとめると、ゼロから事業をスタートする場合に必要なことは、
・社会に対する問題意識と解決するアイディアをストーリーにする「構想力」
・初動をミニマムで形にして実現しながら業績を出す「行動力」
・ヒトモノカネを回しながら効率的に推進する「設計力」
・経営に特化してモデルを組み立て動かす「事業・組織マネジメント」
・周囲からの共感や支援をいただける「人間力」
というものが必要だと感じています。
ということで、私自身も強く意識しながら挑んでいこうと思います!